太陽光発電のしくみを分解する。

発電・蓄電・売電の流れと、屋根に求められる条件について解説します!

「載せるか載せないか」

太陽光発電の話は、だいたい「載せるか載せないか」から始まります。でも実際に迷うのはその手前で、そもそも屋根の上で何が起きていて、つくった電気がどこへ行くのかが見えていないことが多いように思います。

この記事では、発電・蓄電・売電という3つの段階に分けて、電気がたどる道筋を順番に追いかけます。そのうえで、屋根の向き・角度・形がどう効いてくるのかを整理します。

結論から言うと、太陽光は「パネルの性能」より「載せる場所の条件」で結果が変わります。そこを先に見ておくほうが、話が早いです。

まず、電気がたどる道筋

屋根の上から家のコンセントまで、電気は何段階か形を変えながら流れていきます。

  • 発電…パネルが光を受けて電気をつくる
  • 変換…つくった電気を、家で使える形に変える
  • 分配…家で使う/蓄電池にためる/余った分を外に出す、に振り分ける

この3段目の「振り分け」が、太陽光のややこしさのほとんどを占めています。順番に見ていきます。

パネルがつくる電気は、そのままでは使えない

パネルがつくるのは直流という形の電気です。一方で、家の中のコンセントに来ているのは交流。形が違うので、そのままでは家電につながりません。

そこで間に入るのがパワーコンディショナという機械です。直流を交流に変換して、家の分電盤へ送ります。略してパワコンと呼ばれます。

注意点としては、この変換のときに必ずいくらかロスが出ます。パネルの表示上の能力がそのまま家で使える量になるわけではない、ということです。また、パワコンは屋外または屋内に設置する箱型の機械で、それなりのスペースを取ります。設置場所を後から考えると、玄関まわりや洗面室の壁に据わってしまうことがあるので、間取りの段階で位置を決めておきたいところです。

つくった電気は、使う分が先

発電した電気は、まず家の中で使われます。その時間に洗濯機が回っていれば、そこへ流れていく。使い切れなかった分だけが、次の行き先へ回ります。

ここが見落とされやすいポイントです。昼間に家が空っぽだと、つくった電気の行き場が家の中にありません。生活時間帯と発電時間帯がどれくらい重なるかで、同じ設備でも結果がかなり変わります。

蓄電というもう一段

蓄電池を入れると、余った電気を夜に回せるようになります。昼につくって夜に使う、という時間のずらし方ができるわけです。

ためられる量と、出せる量は別の話

蓄電池のカタログを見ると、容量という数字が出てきます。これは「どれだけためられるか」です。

ただし実際の使い勝手を決めるのは、それと別の「一度にどれだけ出せるか」という能力のほうです。たくさんためられても、同時に出せる量が小さければ、エアコンと電子レンジを一緒に動かすような場面では足りません。

もう一つ、ためた電気を全部使い切れるわけではない点も押さえておきたいところです。電池は空になるまで使うと傷むため、一定量を残す設計になっています。表示容量と実際に使える量には差がある、と考えておくと計算が狂いません。

停電のときに何が動くか

蓄電池を入れる動機として停電対策を挙げる人は多いのですが、ここは確認が要ります。停電時に家じゅうのコンセントが生きる方式と、あらかじめ決めた一部の回路だけが生きる方式があるためです。

後者の場合、どのコンセントを非常用にするかは工事のときに決めます。冷蔵庫、照明、通信機器あたりをどう割り振るか。これは後から変えると配線工事になるので、設計段階で詰めておく部分です。

売電という出口

家でも使わず、蓄電池にも入り切らなかった電気は、電線を通って外へ出ていきます。これが売電です。

太陽光を検討するとき、どうしても売電の話が中心になりがちですが、しくみとして見ると売電は「余りの処理」です。優先順位としては三番目にあたります。

そして売電には、家の外側の事情も関わってきます。電線の容量や、その地域でどれだけ受け入れられるかといった条件です。自分の家の設備だけで完結する話ではない、という点は頭に入れておいたほうがよいところです。

屋根に求められる条件

ここからが本題かもしれません。同じパネルを同じ枚数載せても、屋根の条件で結果は変わります。

向きと角度

日本の場合、南向きがもっとも発電量を稼げます。東西向きになると、一日の合計では南向きより落ちます。ただし東西は朝と夕方に発電が伸びるため、その時間帯に家にいる暮らし方なら、自分で使える割合はむしろ上がることもあります。合計量と使える量は別、という見方です。

角度も効きます。寝かせすぎると汚れが流れにくくなり、立てすぎると冬場以外で効率が落ちます。屋根の勾配はデザインと雨仕舞いで決まる部分が大きいので、太陽光だけを理由に大きく変えるものではありませんが、載せる前提があるなら設計者に伝えておく価値はあります。

影と、面の分かれ方

影は想像以上に効きます。パネルは何枚かをひとまとまりとして扱うため、一部に影がかかると、そのまとまり全体の出力が引きずられることがあるためです。

影をつくるのは隣家だけではありません。自分の家のドーマー、煙突、アンテナ、屋根に上がった配管。それと、数年後に育つ庭の木。計画時には何もなかった場所に影ができる、というのはよくある後悔ポイントです。

もう一つは、屋根が細かく分かれている場合です。面が小さく割れていると、載せられる枚数が減るだけでなく、向きの違う面に分散することになります。

載せるなら、屋根そのものを考える

パネルは屋根の上に長く置かれ続けます。つまり、その下の屋根材や防水層に手を入れにくくなるということです。下地のメンテナンス時期とパネルの寿命が噛み合っていないと、後から面倒なことになります。

そう考えると、屋根は「余った上面」ではなく、使い方を決めて設計する面だと分かります。屋根の上をどう使うかという発想そのものを知っておくと、太陽光を載せる・載せないという二択より広いところから判断できるようになります。

まとめ:設備より先に、条件を見る

整理すると、発電したら変換して、家で使い、余りをためて、それでも余ったら外へ出す。この順番です。そして各段階の効きを決めているのは、パネルの型番より、向き・角度・影・屋根の形という条件のほうでした。

だからこそ、太陽光は建った後に検討するより、設計の段階で屋根と一緒に考えたほうが結果が良くなります。家全体をどういう考え方でつくっているのかという部分から見ていくと、設備を足す話ではなく、家の性能をどう組み立てるかという話として捉えられるはずです。

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